心臓リハビリテーションの基本
心臓リハビリテーションは普及途中です。
まだそんなに広まっていません。
そもそも心臓に対してリハビリするの?
効果がいまいちわからない!
などの意見も散見します。
まず心臓リハビリテーションの基本について学びましょう。
心臓リハビリの定義
1965年 世界保健機構(WHO)は
心臓リハビリとは,心疾患患者が,患者自身の努力により,地域社会にお いてできるだけ正常な地位(職業)を回復し活動的に暮らすことをめざして, 可能な限り良好な身体的・精神的・社会的状態を得るために必要とされる 行動の総和である.
と定義しています。
時代とともに定義は変容し、
1995年には米国公衆衛生局が
心臓リハビリとは,医学的評価,運動処方,冠危険因子是正,教育,およ びカウンセリングからなる長期にわたる包括的プログラムである.このプ ログラムは,個々の患者の心疾患に基づく身体的・精神的影響を最小限に とどめ,突然死や再梗塞のリスクを軽減し,症状をコントロールし,動脈 硬化の進行過程を安定化または退縮させ,心理社会的および職業的状況を 改善することを目的とする.
と定義しています。
心臓リハビリは外傷に対するリハビリとは異なり、単発での治療ではなく、長期予後やQOLの改善を目的としており、継続することが重要で長期的な介入が求められます。
そのため、病院での介入のみではなく、いかにして在宅での運動を継続できるか、
どのように地域につなげるか、などの課題もあります。
また、心不全の患者は塩分制限や飲水制限があるなど、疾病管理が重要です。
わたしの病院でも飲水量がオーバーしたため、再入院となった方や、夏場に塩分を摂取しすぎて心不全増悪した方もいました。
こうならないためにも、家族も含めた包括的な介入がとても大事になります。
わたしの病院でいた患者様を例としてとりあげてみます。
症例:虚血性心疾患(OMI)
心不全発症し入院歴あり、その際もリハビリ介入したが退院後の運動療法にはつなげることができなかった。
1-2ヶ月後、心不全増悪により再入院となった。
その時のリハビリでは家族(奥様)を含めて運動療法指導、またリハビリ中に体重・服薬の確認を行い、看護師さんも含め疾病管理について教育した。
その結果、退院後、外来心臓リハビリテーションに通うことになり、そこ以外でも自宅近くのジムに毎日通っている。
半年以上経過したがいまだ再入院はしていない。
以上のように、家族を含め包括的に介入し、疾病管理・運動療法の重要さを教育することにより再入院しないで経過できている。
心臓リハビリは目にみえて効果がわかるわけでもないですが、長期的にみるととても大事なものです。
高齢者が増加しているこの世の中、心疾患を有する人はたくさんいます。
しかし、心臓リハビリについての理解はまだまだ不十分です。
まだまだ課題は多そうですね。